かながわ生き活き市民基金


Category - 市民ライター

市民ライターによる取材 ~「第9期助成団体」の現場訪問~

 

かながわ生き活き市民基金のメッセージ力を高め、情報発信活動に参加する市民をおおぜいにすることを目的に、生活クラブと共催で2017年度「市民ライター講座」を開催し、受講者から7名の市民ライターが誕生しました。

これまでの助成団体では、子ども、高齢者、障がい者など多様な人々を取り巻く地域課題に対応する意欲的な活動が拡がっています。ライターが助成団体を訪ねて地域の多様な市民活動を寄付者の目線で取材し、みなさんにメッセージします。みなさんからの寄付がまちづくりにつながっていることを実感し、市民による寄付活動をさらに広げ地域社会を豊かにしていきます。

 

 

(1)ひきこもり当事者グループ「ひき桜」in横浜(横浜市青葉区)

 

「ひき桜」の大きな役割・目指すもの

 横浜市の中でも多くの人が訪れる街、桜木町。そこから徒歩5分の神奈川県立青少年センターで「ひき桜」が開催されている。ここは、ひきこもり当事者・経験者が集う場所で、月に1度の集まりには30人ほどが集い、遠方からも参加者がいるという。今回は代表の割田さんに活動の経緯と今後の展望について話を聞いた。

 

 割田さんは、自身もひきこもり体験がある。そしてこの体験が誰かの役に立てるのではないかという思いで福祉系の大学で再度学んでいた時、「ピアサポート(=当事者同士の支え合い)」に出会った。そして「これはひきこもりの人に対して必要なサポートの形」という思

いが強くなったという。

 

 「ひき桜」では参加者がいくつかの居場所から、今の自分の気分に合うものを選び、時間を過ごせるようになっている。一人でいる・音楽を聞く・ボードゲームやテレビゲームをする他、卓球もできる。何かをして過ごす場所と参加者同士で話をする部屋もある。話をする部屋の中は2~3人で話す場所やもっと多くの人が囲める大きなテーブル、女子限定のスペースもある。このように多くの居場所を作った目的は、ゆるい空間で過ごし方も自分で選べること、そこから自分に合う道を歩み、自分らしい人生を選択することが個々のリカバリーにつながるのではないかという主催者の願いが込められている。

 

 その中でひときわ大人数だったのは「ひきこもりピアサポートゼミナール」の

ための学びの会だ。ここではピアサポートの基礎理論を学ぶことを大切にしてい

て、今年度は全13回を予定している。桜木町会場の「ひき桜」に続き、東京都町田市でも「ひき町」が

始まった。「今後は多くの地域でピアサポートの基礎理論を学んだ方々がファシリテーター(=調整役)となり、ひきこもり当事者会が広がって欲しい。それから、まだ外に出られる状態ではない人とも繋がりを持つことを考え、実現させたい」と、割田さんは言う。『ひき桜』の活動が必要としている人に伝わることを願っている。                 

URL  http://hikizakura.hatenablog.com/

 

(吉田 あすか)

 

 

 

 

(2)キッチンうめちゃん(横浜市磯子区)

 

キッチンうめちゃん

~ 子どもたちがわいわい過ごして、ほっこりご飯を食べるような場所 ~

 

磯子区で初めてとなる「子ども食堂」がオープンした。2017年磯子区と磯子区社会福祉協議会が、地域で活動する担い手を育成するためのワークショップを開催。そこに参加した意志ある女性たちが中心となって2017年9月JR新杉田駅近くの新杉田交流スペースで開始した子ども食堂“キッチンうめちゃん”がそれだ。地域の人たちに親しまれている梅林に因んで付けた名称が親しみやすく、一歩踏み入れると温かな印象だ。主催するのは主任児童委員や元保育園園長、小学校調理員ら6人。そのメンバーのうちのお二人、代表の中島さんと重田さんにお話を伺った。

ワークショップの後、本格実施にむけて実験的に夏休みのランチ会を行ったが、それが好評で、地域にニーズがあることを実感したという。夏休みの取り組みでは当日学生ボランティアも参加し7人でおにぎりや唐揚げなどのメニューを用意。チラシを見て杉田に住む小・中学生と保護者37人が来場した。参加者から「子どもと二人で食事をし、さびしさを感じていた。みんなで食べるこのような場があるとうれしい」などの感想があった。このランチ会を経て、9月からオープンした「キッチンうめちゃん」。開始に向けては地域の方たちの様々な協力があり、募集チラシを町内に掲示したり、学童保育の場で配布したりした。自治会からは寄付もあり、地域での協力やボランティアとして関わってくれる人もいるそうだ。「日ごろから民生委員やその他の地域活動に参加し、地域とのつながりを大切にしているため」と代表の中島さんは言う。

課題は多くの家庭への広報不足。「もっとおおぜいに“キッチンうめちゃん”の存在を知らせたい。」「みんな日々忙しいので四季折々のことも見失いがち。なるべく季節感を取り入れ、ここでほっこりしてお腹いっぱいご飯を食べていってくれたらいいんです。」と中嶋さんと重田さん。“キッチンうめちゃん”は月1回、午後4時から7時の間で開催。参加費はこども無料、大人300円で提供し30食の用意がある。

 

 

 

                    キッチンうめちゃん”の重田さん(左)と中島さん

 

 

 

 

 

(3)親と子の寺子屋ふれあい自遊塾(平塚市)

 

JR平塚駅からバスで10分程の所にある、ひらつか西海岸デポー。そのカフェスペースで、毎月第1土曜日に開催されている「親と子の寺子屋ふれあい自遊塾」を訪ねた。土曜日の昼下がり、デポーで買い物をするお母さんを待って、お父さんと子どもたちと「ふれあい自遊塾」のスタッフがゲームを楽しんでいた。いつもは仕事で忙しいお父さんだが、休日に子どもたちと楽しそうに、かつ真剣に向き合っている様子は、微笑ましく和やかだ。

近年、ゲーム機やスマホの普及で子どもの人間関係が変化し、社会的な対応力が低下していると言われる。ある雑誌に子どもの知的発育のためにドイツのテーブルゲームが役立つという記事が紹介されていた。「ふれあい自遊塾」ではドイツのテーブルゲームを使って、複数の人とゲームで遊びながら、人とうまくかかわることなどを学んでいくという。「ふれあい自遊塾」のスタッフは、臨床心理士である代表の加藤さんはじめ、保育園で働いている方、民生委員をされている方、学習塾の講師など数名が関わっている。代表の加藤さんは言う、「本来、子どもはあそびを通して多くのことを学びます。自らの意志であそび、人とふれあい、豊かな情緒と社会性の基礎をつくります。ゲームの中で、子どもがみんなの前で選び失敗する。でもゲームだから失敗も平気なんです。楽しいから譲り合ったり、お互いの思いやりも育つのです。」

「ふれあい自遊塾」はこの他に、平塚市崇善公民館で少人数のワークショップを毎月1回、開催している。数回連続で参加するこのプログラムでは、異年齢、他の地域の子どもたちとの交流、親同士の交流も深まり、居場所としての役割も果たしているのではないかとスタッフは言う。ワークショップ参加者は自己肯定感と自己表現が活性化し、他者の感情への関心が高まっているそうだ。こういったワークショップの成果から、参加者を増やすことの工夫が必要と考え、「地域のイベントへは積極的に参加し、テーブルゲームの楽しさを広めていきたい」とスタッフは語った。          

URL http://jiyujyuku.main.jp/main/

 

(戸田 美智子)

           

 

 

 

 

 

 

 

(4)ぱくぱく食堂(綾瀬市)

あやせ ばくぱく食堂を訪ねて

 

「人と人とのつながりで、ここまでこれました!!」

そう開口一番に話されたのは、

子どもとお母さんたちのための「ぱくぱく食堂」を運営する代表の齋藤輝美さん。

                                 

子どもたちが幸せに生きられる地域づくりを目指して昨年の9月からはじまりました。

「子どもたちの孤食が気になる。自分の家族はおかげさまで楽しい団らんしているが、周囲には、そういう家庭ばかりではない。自分でも何かできることはないか」との思いから、地元あやせの生活クラブ生協の組合員に声掛けすると、「難しいことはできないけれど、お料理ぐらいならできるわ」と、共感する人と出会いました。当初は、生活クラブ生協あやせセンターの調理室と会議室を使ってのスタートでしたが、立地的にお母さんや子どもたちが気楽に立ち寄れる場所でなく、その年の10月にオープンした綾瀬市保健福祉センターに場を移しました。地域に出たことで、社協や市民活動センターに登録し交流会に参加するなど、情報交換をしていく機会もでき、スタッフも少しずつ増えているようです。

 

毎回30皿分を用意してます。

ぱくぱく食堂には同じフロアにある、子育て支援センターに集まってくる親子づれが立ち寄ってくれているようです。公共の場は行政が優先となるため、調理室などの予約が取りづらく、月に二度は開きたいが、思うように運営できな

いのが課題のようでした。スタッフは、「拠点があったら良いな・・・」とつぶやいていました。

「メニュー決定や、当日の食事づくりを担うスタッフと、食材を提供してくださる地域の方々、生産者のみなさんのご尽力で、続けられています。」

そして夢はまだまだあり、夕方開催の子ども食堂で、「自分のできることをできる範囲で」助けあって一緒に活動できる人を募集中だそうです。

 福祉たすけあい基金で得られた助成金は、情宣のための リーフレット・参加申込み用携帯電話の維持費・開催場所の使用料に充てているようです。

定刻の12時になると、「みなさんご一緒にいただきます。」 食べ終わると、「作ってくださったみなさんに感謝して、ごちそうさま」のご挨

拶がとても印象に残りました。

そうそう、筆者が訪ねた日は、14組の親子と、綾瀬市長が一緒に食事をしてました!!

                               

 

 

(御﨑 律子)

(開催時間:12:00~14:00・できれば事前予約・会費大人400円、子ども100円)

 

 

 

(5)NPO子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ(横浜市鶴見区)

成り立ちと趣旨

NPO法人 子どもと共に歩む フリースペースたんぽぽ (神奈川県横浜市) は同法人理事長青島美千代さんが不登校の子どもを持つ親の集まりを通じて、それまで不登校児が外出したくても行き場がなかったことに気付き、安心できる居場所を作るべく2008年に横浜市鶴見区でメンバー3名での活動を開始した。

不登校児のための学習支援施設が増える中、同法人は再登校を前提とした運営方針に疑問を持ち、子ども達をありのまま受け入れている。通常は15名程度の利用者がおり「来たい時に来られる」システムを採用し、市外からの利用者も受け入れる。施設での過ごし方は自由で、活動に参加するかは本人に判断してもらう。学習支援も設けられており、難易度の高い大学に合格する子どももいるが、個性を尊重し、子どもの人権を擁護することを重要と位置づける。学習支援以外にも様々な活動を提案しているが、すべて自由参加とすることによって子どもの興味や才能を活かせるよう働きかけている。

 

活動内容と寄付金の用途

学習支援以外にも図画工作を通じた自己表現や美術館の見学、朗読会やコンサートの開催、演劇の上演で感性を養うことに始まり、外国語でのコミュニケーションを図ったり、目的地やスケジュールを自分達で決める旅行を企画することにより積極性も刺激する。また、一緒に食事を作ったり、フィリピンやベトナムなどのアジア料理をメニューに取り入れた食育も行っている。

 

今後の課題とスタッフの想い

助成金の申請を始め、サポート会員からの寄付金やバザーの収益により運営しているが、家賃等の固定費が収入を圧迫している。会員も高齢化が進んでいるため、ボランティアスタッフや会員の新規獲得が課題。「設立して10年ですが、子ども達の笑顔が見えたり、すでに卒業した子ども達も顔を見せてくれることが活動を続ける原動力に繋がっています」と青島さんは語る。

定期的なバザーを通じて地元の高齢者や外国人との交流も生まれつつあるため、地域におけるコミュニケーションの核を担うことで今後のサポーターの拡大が鍵となりそうだ。                

URL  http://www.freespace-tanpopo.com/

 

 

(織田 千寿)

 

(6)いーぷらす(横浜市金沢区)

「いーぷらす」の大きな役割・目指すもの

 

 京浜急行「金沢文庫駅」から徒歩8分。大きな水色の可愛い看板が見えてきた。

NPO法人いーぷらすが運営するドックカフェと就労継続支援B型の作業所が併設されている「のあのあ」はここにある。2階建の建物、2棟と事務所部分からなっている。この場所で「のあのあ」が始まって、8月で2年になる。今回は代表の上原さんに活動の経緯と今後の展望について話を聞いた。

 

 好きなもの「犬」とやりたいこと「障碍者作業所」を組み合わせたことがしたいと思い、実現できる場所を探す中、たどり着いたのは自身が育った金沢区。近隣の理解・協力もあり開業することができた。1日の利用者平均27名・スタッフは8名。開業当初より「のあのあ」が大切にしている、利用者自身が「自発的にやる気持ちを育てる」という理念が受け入れられ登録者数が増加している。

 

 3カ所ある作業スペースでは、利用者ひとりひとりへの配慮を元に、部屋分け、そして座る場所が決められている。今事業の柱となっているのは「フェルティードック」。これは羊毛から作られた犬の小さなぬいぐるみで、インターネットを通して販売している。

利用者数の増加に伴い、作業場所の拡張、給食提供用の施設確保など、優先順位の高いところからの対処を繰り返し、現在に至る。

←羊毛フェルト

 作業所の運営を行うにあたり、法令順守は必須。それと同時に自分たちの目指すもの「町の居場所」でありたい、と上原さんは言う。フリースペースを復活させ、居場所として提供すること。またそこに集う人に食事をしてもらえるようにカフェのメニューを整えること。今休止しているお弁当作りをいつか再開すること。そして作業所に通う利用者さんが「自分ができることを続けられる」場所作りをすること。目指すものは多いが、そこに共感しスタッフになった人をはじめ応援者も多い。「のあのあ」に集う人達が増え、そこに笑顔が増えることを願っている。

URL  http://www002.upp.so-net.ne.jp/e-plus-noahnoah/

 

 

 

 (吉田 あすか)

                            フェルティードッグづくり